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The Wantedは昨年ピックアップした ばかりだが、Big Time Rushはすっかり見過ごしていた。2009年結成でほぼ同期*1 、解散も同じ2014年、再結成がこれまた同じで2021年。
せっかくなので、この二組のこれまでをYouTube archivesで振り返ってみたい*2 。4人グループと5人グループで、これほどまでに味わいが違うものか。甲乙つけ難い魅力。見比べてみると色々発見があった。
本当は復帰第一作'Call It Like I See It' by BTR のMVを待っていたのだが、スキップされてしまったみたい。曲としてはCILISIの方が好きなだけに惜しい・・・
'Big Time Rush' by Big Time Rush (2009/11/29リリース)
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前世紀末のboyband soundが大好物な身としてはこのイントロはグッとくる。ちゃんとdance routineも見せてくれる貴重な映像。Boybandではあくまで選択科目に過ぎないバク転もしっかり履修済み。結成当初からかなりハイスペック。
Kendall Schmidt (1990年生)とJames Maslow(1990年生)の年少コンビが1番ソロ、Carlos PenaVega(当時はPena姓, 1989年生)、Logan Henderson(1989年生)の(ちょっとだけ)お兄さんコンビが2番ソロ。
'Any Kind of Guy' by Big Time Rush (2010/02/02リリース)
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ソロ順はJames→Logan→Carlos→Kendall。
特徴的な目元のせいか、Jamesの色気がとんでもないことになっている。
Carlos以外は地声が高いから誰がコーラスに回っても聴き映えがする。
'Half Way There' by Big Time Rush (2010/04/27リリース)
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ソロ順はKendall→Carlos→(サビ)James→Logan。
年少組の方が年長組よりデカいという、体格差がよく分かるMV。
噛み付くようなJamesのサビがrock soundに超マッチ。声は違うけど、初期のNick Jonas (Jonas Brothers)と歌い方が似ている気がする。
'Famous' by Big Time Rush (2010/06/29リリース)
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ソロ順はKendall→James→Carlos→Logan。イントロからし てドキドキする。
上の3作までがずっと屋内撮影で、ようやく本作で野外のライブ映像が見られる。
'All Time Low' by The Wanted (2010/07/25 リリース)
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デビューは同期だがやや出遅れた感のあるThe Wantedがここで登場。追随組なだけあって準備は万端、とにかく映像がハイレベル。BTRがドキュメンタリー風とすれば、TWは物語風。このタッチの映像美は解散直前まで続く。
登場順は、坊主のセンターMax George (1988年生)→デビュー当時は元気なTom Parker (1988年生)→天然パーマのJay McGuiness(1990年生)→サビでNathan Sykes (1993年生)+Siva Kaneswaran (1988年生)。Sivaさん、当初はコーラス要員だったんだな。
'City Is Ours' by Big Time Rush (2010/08/03リリース)
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ソロ順はKendall→Carlos→James→Logan。
こういう「屋上ジャックもの」MV、boybandではよく見る類型なんだが、具体例が思い出せない。CNCOあたりが出していそうな気が。地下室ならピンとくる のだけど・・・
MV後半で披露しているdance routineはライブでは採用されなかった模様 。
'Til I Forget About You' by Big Time Rush (2010/09/21リリース)
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営業先はまさかのCountry Club。しかしカメラのレンズを覗いて見ると・・・
ソロ順はKendall→Carlos→Logan。珍しくJamesはサビのみ。
長いソロパートが特徴。これが2nd singleなんだから驚きだ。各人のスキルの高さが窺える。
<<2010/10/09 The X Factor Series 7 第一週 放映 (One Direction初お目見え)>>
'Heart Vacancy' by The Wanted (2010/10/17 リリース)
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ソロ順はMax→Tom→Jay*3 。NathanとSivaはコーラスとサビのユニゾン のみ。
こちらも2nd singleだがMVの力の入れようがBTRと段違い。こういう凝ったMVって、デビュー4年後くらいに出すものじゃない?普通。
'Stuck' by Big Time Rush (2010/10/11リリース(1st "BTR"))
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ソロ順はJames→Carlos→Logan。Kendallはコーラスのみ 。
この辺からKendallのギターが登場する。
'Big Night' by Big Time Rush (2010/10/11リリース)
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ソロ順はCarlos→Logan→Kendall→James。CarlosとLoganが初めて1番のソロで並び立つ。
サビの"big-big-big-big-big-big-night!"のダンスが超カワイイ。
'Lose My Mind' by The Wanted (2010/12/26 リリース)
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ソロ順はTom→Max→Nathan。JayとSivaはコーラスのみ。
遊園地もboybandでは頻出のテーマ。遊園地モノの代表作はやっぱりコレ 。
'Boyfriend' by Big Time Rush (2011/01/31 リリース)
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ソロ順はKendall→James。
Snoop Dogとはドラマ本編でもコラボがあったそうな。それにしてもデカいなSnoop。
'Gold Forever' by The Wanted (2011/03/13 リリース)
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英国エンタメ好きにはお馴染み、Red Nose Dayのcharity songとしてリリースされた。リリース日から見てもちょっとグッときてしまう一曲。
MVはライティングが素晴らしく、特に、MaxやSivaの肌の色合いと、楽曲テーマの"Gold"の印象が響き合う、見事な作りとなっている。それでいて決してケバケバしくなく上品なんだよね。
ソロ順はTom→Max→Nathan→Siva→Jay。この辺りから前の3人と後ろの2人の位置が固まってきた。
'Glad You Came' by The Wanted (2011/07/10 リリース)
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こちらの記事 ではこの曲がデビュー曲だと勘違いしていた。それくらい、TWといえばこの曲の印象が強い。
ソロ順はMax→Nathan→Tom→Siva。比較的長尺のソロなので声の聴き分けにちょうどいい。Sivaさんの、例えるなら「ひと汗かいた後の男のムスク」声がすっげぇ好み。One Directionの影に隠れがちだが、TWもまた、声の色と書いて「声色」で聴かせるグループだと気付かされる曲だ。
MV冒頭、メンバーの瞳の焦点の合わなさに思わずウッとくるが、そうか納得、Ibiza で遊び過ぎたからなんだな。このハッチャケっぷりを、後に触れる'Windows Down' by BTRと比べると面白い。上の'Til I Forget About You' by BTRでも、スケートボード でプールに突入するカットがあった。当時は流行っていたのか。
'Worldwide' by Big Time Rush (2011/08/17 リリース)
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MVからは分からないが、実際はソロが細かく分かれていて掛け合いのようになっている曲。Loganの天衝 (つ)く高音を堪能したい。BTRはみんな音域が高い(ように聴こえる)が、中でも彼は絶品だ。褒め言葉だが、とても成人男性には思えないカンの鋭さ。
空港とboyband MVも縁が深い 。都市の名前を連呼する歌詞もよく聴くよね。
'Lightning' by The Wanted (2011/10/14 リリース)
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ソロ順はTom→Jay→Max→Siva→Nathan。
メンバーとは全く関係のない、MVの艶っぽさがここでも目立つ。なぜか頻出する土埃と煙の描写。「外でやれ!」とのメッセージ?(笑)
'Music Sounds Better With U' by Big Time Rush (2011/11/01 リリース)
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ソロ順はJames→Logan→Carlos→Kendall。この曲以降が2nd "Elevate"の収録曲となる。
<<2011/11/18 "Up All Night" by One Directionリリース>>
'Warzone' by The Wanted (2011/12/26 リリース)
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ソロ順はNathan→Jay→Siva。MaxとTomはサビのユニゾン という珍しいパート割り。
この曲調で暗い感じのMVというとぜひ見比べてほしいのはこちら 。ピアノは燃やさないけど車は燃えてます。坊主も出てきます(笑)だけど女の子は一人も出てこないストイックさ。
'Time Of Our Life' by Big Time Rush (2011/11/21 リリース(2nd "Elevate"))
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MVはこの「犬たくさん」版とKid's Choice Award版 の2通り。後者には歌手デビュー直前のAriana Grandeもチラッと顔を見せる(1:00~の黄色のドレス)。
犬の目白押しMVといえばやはりこちら でしょう。訳わからない監督/プロデューサーが登場するMVならこれ かこれ 。
ちなみにソロ順はLogan→James→Kendall→Carlos。Loganが初めてリードを取る記念すべき曲。
'Chasing the Sun' by The Wanted (2012/04/17 リリース)
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ここまで観てきて興味深く感じたのは、'Lightning'以前のMVが、メンバー全員傍観者なこと。あくまで主役は楽曲だったり、MVに登場する若者たちだったり。つまりTWは代弁者的役割だった。
ところが'Warzone'からは彼ら5人も当事者となって右往左往、この'Chasing the Sun'ではとうとう肉体にも傷がつく、というなかなかヒリヒリした仕立てになっている。得体の知れない吸血鬼のお姉さん方は、彼らに祓っていただきましょう 。
'Elevate' by Big Time Rush (2012/04/21 リリース)
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2nd "Elevate"の表題曲。このMVを観て戸惑うのは、「今、こんな衣装の揃え方はどこのグループもしないだろうな・・・」ということ。例えばK-POP なら、片袖だけ白かったりとか、メンバーの誰かは半ズボンとか、キャップを被ったり被らなかったりとか、つまりどこかで必ず「崩し」が入る。そうでないと体格差がモロに出ちゃう。そのいい例だ。
'Windows Down' by Big Time Rush (2012/06/25 リリース)
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K-POP のMVでは滅多にお目にかかれない、欧米系boybandならではの「自然の中で男女ワチャワチャ」MV。ロケーションの豊富さ、羨ましい数々のレクリエーション、ラストで瞳孔が開ききったメンバーたち(笑)のショットもさることながら、秀逸なのはやはり曲の構成 。特にCメロ、Loganのパート"Everybody knows I want ya~(中略)~baby show me~♪♪♪"の、この"show me~♪♪♪"を聴いてると、「ああ、俺はまさに"BOYBAND"を味わっている!」と嬉しくなる。この感覚が分かる人とだけお友達になりたい。
ちなみに復活ライブツアー のセトリ一曲目がこれだった。さすが、分かってらっしゃる。
'I Found You' by The Wanted (2012/11/04 リリース)
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高音好きとしてはこの曲が一番好きだなぁ・・・特に、ソロ順ではいつも4番手、5番手のSivaとJayがサビで軽々とファルセットをこなしている姿 に惚れ惚れする。ピッチも息もぴったり。
こういうファルセットを聴くと「英国だなぁ」と思うのは、米国産ながら英国でヒットしたScissor Sisters を聴き過ぎてるせいかもしれない。
<<2012/11/09 "Take Me Home" by One Directionリリース>>
'Like Nobody's Around' by Big Time Rush (2013/04/30 リリース)
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ここから3rd "24/Seven"の収録曲。第一期の終盤戦です。
MVのテーマは、これもよくある「過去の名作boyband MVのパロディ」。ネタ元は、'Sherry' by The Four Seasons、'My Girl' by The Temptations 、'ABC' by Jackson 5 、'You Got It (The Right Stuff)' by New Kids On The Block 、またもや'I Want It That Way' by Backstreet Boys 、トドメは'Bye Bye Bye' by *NSYNC 。
こうやって誰もが知ってるパロディになるのも、*NSYNC までなんだよなぁ、と思うと切ない。ギリギリB2KやJonas Brothersまで入ったりするだろうか、といった認識、そう間違いじゃない気がする。
'24/Seven' by Big Time Rush (2013/06/19 リリース)
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このMVくらいから、メンバーそれぞれ適度に肉がついてヒゲも伸びて、現在の外見と繋がるようになる。Jamesは髪もスッキリ。
それに伴い、デビュー当初の「お金かけないMV」路線も再来(涙)。
'Walks Like Rihanna ' by The Wanted (2013/06/23 リリース)
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うーん、実に惜しい。上の'Like Nobody's Around' by BTRのMVとはわずか2ヶ月の差で出遅れてしまった。このMVはこちらのレビュー を参照のこと。JayのRiver Dance→江南ダンスに時代が刻印されている。
(実際はあと何曲か残っているが)TW第一期の締めくくりに相応しいネアカな曲。
'Confetti Falling' by Big Time Rush (2013/06/11 リリース(3rd "24/Seven"))
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紙吹雪どっさり。こちらもそろそろ店じまいの雰囲気。BTRのMVの中で最もドラマの映像が多用されている一曲。
'We Own the Night' by The Wanted (2013/08/11 リリース)
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これもアンコール曲よなぁ。Clapしながらコンサートの〆に聴きたい一曲。
このMVで、パーティー の主役だしガッツリ参加しているにもかかわらず、メンバーが皆'Lightning'以前の傍観者ポジションに戻ったのも興味深い。宴の終わりは近い。
'Show Me Love (America)' by The Wanted (2013/10/25 リリース)
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メンバーの中で唯一、writerにクレジットされた末っ子Nathanのセンター曲。
主役がメンバー以外というモチーフはデビュー2曲目のMV'Heart Vacancy'と似るが、ソロ順がそれとはガラッと変わっているのにも注目。
'We Are' by Big Time Rush (2013/06/11 リリース(3rd "24/Seven"))
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BTRの第一期ラストの曲。ライブ映像(おそらくドラマの中の"Tween" Choice Award出演時の映像)が全編に渡り使用されている。
なお、現実のTeen Choice Awards 2013では、BTR、TWともども1Dに完敗。
<<2013/11/25 "Midnight Memories" by One Directionリリース>>
'Glow in the Dark' by The Wanted (2014/03/23 リリース)
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TWも2014年春に一旦の幕切れ。
BTRのMVと混ぜて観ているとかえって気づきにくいが、オフショット満載のこのMV、他と比べてかなりやっつけ仕事である。
復帰作はTWが'Rule the World' と'Stay Another Day' (East 17 のカバー)、繰り返しになるがBTRが'Call It Like I See It' と'Not Giving You Up' 。NGYUはGMA出演時の映像もカッコ良かったので以下に紹介したい。MVよりこっちのが断然イイ。体格差があるから衣装バラバラの方がオシャレに輝く。
'Not Giving You Up' by Big Time Rush (2022/02/21映像公開)
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ソロ順はLogan→Carlos→Kendall→James。'Call It Like I See It'のソロ登場順 がKendall→Logan→Carlos→Jamesだったりするので、俳優と兼業しているJamesにはあまり負担かけないようにしてるのかなぁと憶測。
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こんな感じで1Dの経歴も織り交ぜて振り返ると、2010年の1Dデビュー時にはまだ余裕があった各boybandも、2011年の"Up All Night"リリース時には既にピークを迎えていて、2012年"Take Me Home"で完全にトドメを刺され、2013年"Midnight Memories"リリース時にはもう誰も覚えていないという。Boyband、盛者必衰の理。
だから、1Dが再結成するだのしないだのグズグズしているうちにとっとと復活した(復活できた)二組は、本当にエラいし、かつ強(したた)かだ。各グループの「再結成映像」を確認しながら、それぞれへの期待感を添えて、本稿を締めたい。
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主演ドラマの終了(と1Dの急上昇)によってboyband活動終了を余儀なくされたBTRだったけど、'Call It Like I See It' と'Not Giving You Up' (こんなん、なんぼリンク貼ってもイイですからね。)のリリースによって、彼らの団結力はそんな誰かの都合によって終わっていいものではないことが証明された。
音楽センスの高いBTRは、例えるなら「20'sに舞い降りたO-Town 」だ。過去の名曲に必要以上に縛りつけられることもなく、今の流行にしっかりピントを合わせて、クセになるスルメ曲を放り込んできてくれた。
あと、これは繰り返し訴えたいが、高音が3枚(Kendall、James、Logan)いるのもmanbandとして最高&最強。ダンス系、パフォーマンス系がなにかとチヤホヤされる昨今、歌って踊ってしかもハモれるmanbandはレアなので、そんな彼らのサウンド にこれからも要注目。
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病院の待合室にて、Tomの下に次々と「自慢」しにくるメンバーたち。これは英国式ジョークなのかな。
TWには「5ive が果たせなかった夢の続き」を期待したい。メンバーのビジュアルの凸凹ぶりや、dance musicが主戦場という点でも、5iveとは共通項が多いTW。メンバーの仲がそれほど良くなかったと思しき彼らも、縁やタイミングが重なって再集結してくれた。ステージに長椅子を設置する など、Tomに負担がかからない程度にライブで楽しませてくれるようだし、ここは一発、目が覚めるようなヒットチューンを放ってくれないだろうか。カバーでもイイけど、やっぱオリジナルが欲しいなぁ。