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海外Boyband/Manbandのニュースに簡単なコメントを添えたブログです。

<TAKE THAT> TAKE THAT、'Out Of Our Heads'リリース

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「文化系のためのヒップホップ入門2」(長谷川町蔵、大和田俊之著、アルテスパブリッシング社)の柳樂光隆氏を加えた鼎談に、「ラジオ」に関するくだりがあった(174~177頁)。とても興味深かったので以下、少しだけ引用させて頂く。ちなみにこの対談本メチャ面白かった。boybandファンやmanbandファンの皆さんにも是非オススメ(もちろん1も)。

 

(以下引用)

 

「長谷川 ただ、ロバート・グラスパーのアルバムを聴くと、そうしたミュージシャンとしてのプライドのいっぽうで、ポップスを聴いているようなふつうのリスナーにラジオで聴かれたいっていう願望をすごく感じますけどね。

 

(中略)

 

 柳樂 グラスパーもインタビューではプロデュースをするときはラジオのことを考えるっていってました。ただ聴いてもらえるかどうかみたいな話じゃなくて、ラジオでかけてもらうために必要なフォーマットがあって、それにしなきゃいけないとか、そういう話をするんです。


(中略)

 

 大和田 彼(註:Mr. Children桜井和寿)が昔、ラジオで流れるサビの15秒だけで曲の魅力をアピールできなければダメ、といってたのを覚えています。」

 

(引用終わり)

 

ここで議題に挙がっているアーティストのラジオ観、今回の'Out Of Our Heads'にも不思議とピタッと当てはまる。

 

まず、サウンドが近年のTAKE THAT worksからちょっと変わっている。TTらしくないとまでは言わないが(当然こんなサウンドもGary Barlowの頭の引き出しには常備されている)、ブラスをこんなにふんだんに使ったアレンジって、彼らの仕事としては明らかに異質。

 

次に、Gary Barlowは、30年TTを引っ張ってきたプライドがある一方、thatter以外にも自分たちの曲を聴いてほしい!という欲がギラギラした人。この辺、長谷川氏のロバート・グラスパー観とカッチリはまる。ロバート・グラスパーがどうかは分からないけど、少なくともGazは、現状のファン層には全く満足していないことは明らか。もっと若い世代にも、もっと幅広い国や地域にも、自分たちの音楽は届くはずだ、と信じて疑わない。

 

で、'Out Of Our Heads'ではご丁寧にも音に歪みをかけて、あたかもラジオから流れているかの様なサウンドに仕上げている。これは柳樂氏の言う「必要なフォーマット」なのかもしれない。素人の俺にはよく分からないけど。

 

トドメはこの曲のサビ。タイトルを何度も何度も連呼して、Mark OwenとHoward Donaldのコーラス隊にもそれを追っかけさせる。裏打ちだが常につんのめり気味のビートがさらに追い打ちをかける。TTを知る人には跳ね踊るTT3の映像がカラーで瞬時に思い浮かぶ。大和田氏のいう「サビの15秒の魅力」が見事に炸裂(上のOlly Mursを見てごらん!)TTを知らないリスナーでも、「なんだか楽しそうな曲だな」という感想がその脳裏をよぎるだけでシメたもの。

 

まぁ気づいてみればタイトルからして'Out Of Our Heads'。この'Our'の範囲をどこに設定するか(TT3?thatter?英国人?それとも…人類?)で、thatterが予測するGazの狙いが、そして曲の世界観がガラッと変わってしまう。

 

サラッと聴けてしまうけど実はなかなか手強い一曲かもしれないよ。